すっかり小説もブログで更新、になってます。
いつかまとめて、ちゃんとサイトに移動させたいです。
……年内くらい?
[1回]
異性から呼び出しを受けるのは正直、日常茶飯事だった。
だから、言われた言葉にこれ程動揺させられるとは、思ってもいなかったのだ。
だれか好きな人いるんですか、という問いに、水野はノーと答えた。
じゃあ小島有希さんのこと、好きな訳じゃないんですね、という問いに、水野は答えられなかった。
じゃあやっぱり、水野先輩は有希先輩のこと好きなんじゃないですか、と言われて、水野はまた、ノーと答えた。
告白してきた女の子は、わけがわからない、という顔をした。
正直言って、どうしてそんな答えになったのか、水野にもさっぱりわからなかった。
名前のない恋 (水野Ver.)「小島、これ頼む」
水野は手の中のバインダーを小島有希に手渡した。
「何? コレ」
「コーチに貰った次の対戦相手の資料。お前も目ぇ通しておいてくれ」
「わかった。で、どうなの。勝てそう?」
「負ける気はしないな」
「なんでそう言い切れるわけ? 嫌味?」
「単なる感想だろ」
「それが嫌味だってのよ。あー負かしたい。その鼻へし折りたい」
「あのなぁ……俺ならいつでも相手になるぞ」
「はあーい覚えておきまぁーすありがとございまぁーす」
妙な発音での間延びした答えに水野がため息をついていると、遠くから野次が飛んできた。
そのほとんどが「いちゃいちゃしてんじゃねえ」の類で、水野は思わず笑った。
今のやりとりの、どのあたりがそう見えるんだか。
「ったく、面倒よねぇ」
野次馬を睨み付けながら小島が言った。
「だよな」
そう返して、二人並んで帰路につく。いつの間にか、小島と一緒に帰るのが当たり前になっていた。
つきあってるとか、お似合いだとか、からかわれるのは正直、癪に障る。でもだからといって帰る時間も方向も同じなのに、わざと時間や道をずらすような真似をする方がさらに癪だよね、と意見が一致したのだ。
小島と交わす会話に、色恋の要素は何もなかった。
ほとんどがサッカーの話題、部の問題、偶に授業やテストのこと。
隣に彼女が居ることに、なんの気負いも違和感もない。
小島の隣に並ぶのは、水野にはとても自然なことだった。
周囲が、水野と小島の間柄をどう捉えているかは気にもとめていなかった。
関係なかったのだ。今日、あんなことを言われるまでは。
『小島さんのこと、好きなわけじゃないんですよね?』
付き合ってはいない。
嫌いじゃない。
好き、とは言えない。
でも好きじゃないとまでは言いきれない。
隣に小島がいる。
当たり前のように、一緒にいる。
水野にとっては自然なことだ。
けれど一度気付いてしまえば、それは不思議な感覚だった。
ただの、中学の同級生でチームメイト。
この先、どんな道を歩むことになるのかなんて、自分はもちろん、小島だって、実際の所、全然解らないはずなのだ。
だから、とんだ勘違いだ。
この先もずっと、こんな風に、隣に小島がいてくれる気がするだなんて。
この感情には名前がない。この関係には名前がない。
だから好きとか嫌いとか、簡単に言えないのだ。
post
恋とは言いきれない曖昧なかんじで。
あやふやな関係の二人ですが、
恋なんてきっぱり定義があるもんでもあるまいし。
さてさて、どう転ぶやら。
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2008/08/21
笛小説
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