忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2026/02/17

シゲマイSS 少女と鳥と

やった!!
雪が消えてきた!!


シゲマイSSどうぞ~

 

拍手[0回]


春が来たのよ。だから。
渡り鳥は、北へ帰るの。


    少女と鳥と


中学卒業も間際になった、お天気のいい、帰り道。
鳥の声に呼ばれた気がして、麻衣子は空を見上げた。
青い空に、白い鳥の群れ。
白鳥が北へ帰るのだ。
そう、渡り鳥。
ひとつところに留まりはしない。
時が来れば、去ってゆく。

思えば、彼と鳥は似ていた。
気の向くまま、麻衣子のそばに来て。
ふらりと居なくなって。
しばらく来ないと思っていれば、
怪我をして世話をせがんできて、
撫でてもらいたがったりして。

「ふうん、そないに思ぅてたん? 似とるか?」
かたわらに立つ、佐藤が言った。
「だって、縛れないでしょう?」
麻衣子は答えた。
いつだって、つかみどころが無くて。
自由なのが、彼らしくて。
籠の鳥、なんて死んでもならなそうで。
飛べない自分はただ憧れる。空を舞う彼。
たまに、羽を休めにやってくる彼を、待っている。
そして、元気に飛び立つ姿を見送り、また次を待つのだ。
けれども。

「渡り鳥よね、あなたは。居るのは今だけで。時期が来たら、どこかに帰って行くんだわ」
彼から、麻衣子はまだ聞かされていなかったけれど。
ずっと前から、噂になっていたから、知っていた。
「あなたは京都に帰るんでしょう?」
東京から、彼の実家である、京都へ行くと。サッカーの有名校へ進学すると。
彼女には遠く、友人では近く、何かと問われれば首をかしげる、曖昧な関係だけど、聞いてもいいだろう。
「もう、ここには来ない?」
麻衣子は彼を振り向いて言った。
来ない、と答えが返るのも、覚悟していた。
去る彼を、追いかけるすべを麻衣子は持たない。麻衣子は飛べないから。
見上げる彼は、考える様な顔を見せた後、
「来たい、とは思ぅてる」
と、ふてくされるように言った。
「俺、鳥とちゃうし。攫いに来るかもしれんとは、思わんの? お嬢」
麻衣子は眉をひそめた。
「攫うって、何を?」
「今は行く。今は、な。まだガキやから。でも、いつまでもそうやないし、今度来る時は俺、白鳥ほど無害とちゃうで」
彼が麻衣子の目を見る。
「俺、決めたんや。腹も括った。だから京都に行くんやけど、お嬢をあきらめる気ぃはないで」
前半はサッカーのことを言っているのだと見当がついたが、後半はよくわからなかった。
「待ってていいの? ここに来る?」
「待てるんなら、待ってて。そないに時間かからんから」
彼は、あたりを見回したあと、大胆にも麻衣子を両手で抱き寄せた。
そこまで彼と接触するのは初めてで、麻衣子は身を硬直させ、棒立ちのまま彼の言葉を聞いた。
「人さらいになって、迎えに来るから。待っててや」
頷く前に、彼の唇が迫ってきたので、麻衣子はあわてて目を閉じた。
彼は生身の男の人なのだと、はじめて知ったような気がしていた。





     おとぎ話風。餌付けしてた白鳥が男に変身、みたいなイメージ。

 
PR

2014/03/06 笛小説 Trackback() Comment(0)

COMMENT

COMMENT FORM

NAME
MAIL
WEB
TITLE
COMMENT
PASSWORD

TRACKBACK

TRACKBACK URL :
プロフィール
 
HN:
草(sou)
性別:
非公開
 
 
カテゴリー
 
 
 
最新記事
 
(02/16)
(02/14)
(02/12)
(10/01)
(04/14)
 
 
RSS
 
 
 
リンク
 
 
 
P R