メリークリスマス!
ということで。
ふふふ、こちらはケータイで書いたら2回消してしまったので(白目)、3回目に書いたものです。
それぞれで、だいぶ違った話になりました。
同じ話の書きなおしなのに、なぜそうなるのかが不思議。

[0回]
Only you息せき切って、待ち合わせのベンチ前に到着したシゲは、ぱん、と手を合わせて拝むように言った。
「スマン、ほんまにスマン」
「1時間、の遅刻ね」
と、上條麻衣子が腕組みをほどく。テレビ収録が予定外に長引き、遅れるという連絡はしていたが、クリスマスのデートに遅れるのは立腹してあたりまえだろう。
彼女の気合の入ったとびきりの髪も服装もメイクも、とっておきの一日のためのそれである。
「ごめん、寒かったやろ。早よ動こ」
手を引いて歩きだす。彼女のむくれた顔を振り返る。
「なんでもするさけぇ、許してぇな」
「別に怒ってませんわよ」
「嘘やん。そんな顔して」
「気に入らなかっただけですわ、1時間も待つなんて」
「せやからごめんって」
「違いますわ、あなたにじゃなく、私によ」
意味がとれず、振り返ると、彼女はため息をつく。
「こんなに私を待たせるのなんて、あなたぐらいですわよ」
「そうか?」
「そうよ。とっくに帰ってますわ、他の人なら。一時間も待たされたら」
つまり彼女は、シゲのことを一時間も待ってしまう自分が気に入らない、と。
シゲの頬がだらしなく緩んだ。
なるほど、彼女はシゲのことが好きな自分が気に入らないわけだ。
それは、素直じゃない彼女の、確かな好意の表れで。
こんな呆けた顔を見られたくないので、口元を空いている手で覆って、シゲも返した。
「さよかー。まぁ、俺を待ち合わせに走ってこさすのも、お嬢ぐらいのもんやしな」
彼女が視線を上げてシゲを見た。
「遅れてるんだから、当然でしょう。それぐらいは」
「いんや、他の奴には遅れたってそこまでできへんわ、街中走るなんて目立つし、格好悪いし」
「そう?」
彼女はしばし思案顔をし、「そうね、あなた一応有名人だから、走ったら目立つでしょうね」
と頷いた。
「せやろ。俺はお嬢が大事なんやで」
そう、と言ってそっぽを向く彼女。
『私も大事よ』などと、こんな所で言うような彼女ではないのは、知っているので。
シゲは彼女とつないでいた手の指を絡めた。
彼女の手の確かなぬくもり。
クリスマスの今日、他に欲しいものはない。
蛇足
シゲ21歳ぐらいの設定。
てか、待ち合わせ場所にもよるけど、人ごみで走ったら危ないよ。とセルフ突っ込み。
PR
2013/12/25
笛小説
Trackback()