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兎角、女性は占い好きだ。
女性誌の、『今年の夏、あなたの運勢』 なんて特集を、嬉々として女友達に勧められて、麻衣子は軽く肩を落とした。
占いで先のことが分かるなら、こんな簡単な事はないのに。
占いは信じない主義
大学構内でのランチ。
日替わりの定食メニューは、女子大だけあって、カラフルでヘルシーだ。
「ねぇねぇ、麻衣子って来月誕生日でしょ?」
友達がパスタを片付ける合間に聞いてきた。
「そうよ」
よく覚えているものだ。麻衣子はうなずく。
「ね、誕生日に向けて、彼氏探さない? 今週末合コンするんだけど」
「……どうして、誕生日に向けて、彼氏探しに合コンするの?」
「えー、一人で誕生日なんて嫌じゃない?」
「彼氏がいなくても、一人じゃない事もあるでしょ」
麻衣子は答えた。
去年の19歳の誕生日は、めずらしく両親揃って、ディナーに行ったし。
「友達と会ったりしてれば十分よ」
「あ・ま・い・よ! こんな機会でもないと、麻衣子、隙が無いんだから!」
「隙?」
「そうよ! 彼氏いらないわ~なんてオーラだしてたら、いつまでも出来ないんだからね! 誕生日もうすぐなのに、彼氏が居ないの~って、合コンでとりあえず言っときなさい! で、麻衣子なら必ず何人かからメール来るから、そんなかで一番マシな人と誕生日までの期間限定で付き合っちゃえばいいのよ」
「彼氏いらないオーラなんて、私、出してませんわよ」
「出してるよ! 合コンだって一回も来てくれたことないでしょー、数合わせでいいって言ってるのに」
「だって初対面の人と飲むものじゃないって言われてるんですもの。門限も10時だし」
「もー、箱入りムスメなんだから! とりあえずお試しって事でも、付き合っとけばプレゼントだって貰えちゃうんだからね!」
「あなた、そっちが本音よね?」
麻衣子は笑って彼女に言った。
ばれたか、なんて言って、悪びれないところが、憎めない友人なのだ。
彼女は、アイスカフェオレを飲みつつ言った。
「若い女の子の特権なのよー、おごってもらえるのも、プレゼント貰えるのも。男子から欲しいもの買ってもらえる機会、誕生日を棒に振るなんて、どうかしてるわよ麻衣子!
誕生日とクリスマスとホワイトデーと、あと七夕? ぐらいしかないんだからね!」
「七夕まで貰うの?」
「そうよー、願い事書いてさ」
「ふううん。この間の七夕は、何を貰ったの?」
「水着買ってもらっちゃった! 一緒に海に行こうねって言って」
「ああ、それは断れないでしょうね、彼も」
「でしょ? 絶妙でしょー、自分で買うには結構高いのよ、水着って」
「あなたの彼も大変ね」
「お付き合いはお金がかかるんですー、そういうものなんです」
威厳めいた口調で彼女は言った。
お嬢様学校、といわれる女子大学ではあっても、普通の大学生も大勢。当然、親元を離れていれば、仕送りやアルバイトで生活していて。
おしゃれも必須、でもそれなりの物はそれなりの値段がする、欲しいものは沢山。
彼氏がお金持ちだから、
こっそりお水のバイトしているから、
家がお金持ちだから、
エトセトラエトセトラ。
ブランド物で身を固めている娘もいる中で、上を見ればきりがない。
そんな中で、デート資金まで調達するのは、なるほど大変な事だろう。
まして、遊びに行くにも、食事をするにも、それなりの雰囲気のある、華やかなデートにはお金がかかる。
恋人に求めるステータス。
デート資金が用意できて。
車があって。
学歴もそこそこで。
ルックスも大切。
将来性があれば、なお良し。
「社会人と付き合ったらいいんじゃない?」
別の友人に、聞いた事が何度かあったけれど。
「社会人だと、仕事で好きな時に会えないし、連絡もぜんぜん取れないもん」
まぁ、中には真面目に恋愛している娘もいるけれど。
遊びたい盛りの大学生にとっては、お付き合いや恋愛は、学生時代の通過点なのだろう。
「ねぇ。合コン行かない?」
彼女がもう一度聞いた。
「彼氏を作って、誕生日プレゼント貰うために?」
「そのためだけ、じゃないけどー。いいじゃん、お付き合い一カ月ぐらいなら、デートだけで済むでしょ? キスもしなくてもいいかもだし」
「計算高いわね、ほんと」
麻衣子があきれ顔で言うと、
「そうよー、だって女ですもの」
と彼女はウインクをした。
この友人は不思議だ。
言っていることはめちゃくちゃ、なのになぜか憎めないのだ。
彼女は突然、傍らのカバンから女性誌を取りだした。
「ねぇ、麻衣子、じゃあさ、麻衣子の今月の占いの結果次第で、参加するか決めようよ」
「占いの結果?」
「ほら、おとめ座の今年の夏は、『運命的な出会いがある』 って」
麻衣子は、差し出された雑誌を見つめながら、肩肘を付いた。
占いで先のことが分かるなら、こんな簡単な事はないのに。
つづく
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