やっとこ続きです。
どうぞ。
[0回]
友人との待ち合わせは午後からだった。
出かける前にシャワーを浴びた麻衣子は、胸元にひとつ、あざができているのに気づいた。おとといの晩、酔ってどこかにぶつけたのかもしれない。
誘われたのは外であるイベントだから、寒さ対策を十分にして、麻衣子はアパートを出る。
謎解きはディナーの後で 5 待ち合わせて、とりあえずお茶をしようという事になって、麻衣子と友人は手近なチェーン店に腰を落ち着けた。
「そういえば、おとといの忘年会のことだけど」と、友人が軽食をつまみながら麻衣子に聞いた。
「結局、大丈夫だったの? 送られたあと。何か変わったことなかった?」
「ええ、特には。二日酔いはひどかったけど。そうだわ、気づいたら、胸にあざができてて。どこかにぶつけたんでしょうけど」
「胸にあざ?」
「そう」麻衣子がミルクティーを飲みつつ頷くと、
「ふうん……」と友人は思案顔をする。
「あのさ、麻衣子。ちょっと見せてくれない? そのあざ」
「いいわよ、でもどうして? えっと、どうしよ、そっか、隣に行って覗いてもらえばいいのね」
隣の席に移動して、胸元をちょっと引っ張ってみせた。下着には隠れない位置だから、友人にもあざは見えた。
「やっぱりそっか。いいよ、ありがと麻衣子」
向かい側の元の席に戻って、友人に聞いた。
「やっぱりって、なあに?」
「それ、さ。キスマークだよ、たぶん」
「え?」思わず聞きかえした。「キスマークって、口紅の跡の事じゃなくて?」
「ええ? あ、そっか。それもキスマークって言うけどさ。もっと、なんて言うかな。不埒な意味でのね」
「不埒……」
「不届きっていうか。監督不行き届き、みたいな」紙ナプキンで口元を押さえながら、目線で、意味わかる? と友人。
「これがキスマークってことは、つまり、誰かが――」
「胸元にキスした、って事ね」と友人が頷く。「大丈夫? 麻衣子。何か覚えてる?」
「ぜんぜん――」麻衣子は絶句した。何も覚えていない。
「……とりあえず、どんな状況だったの?」
眉をひそめた友人に、覚えている限りのことを、麻衣子は話しはじめた。
そう、藤村成樹の言葉についても、全部。
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2014/01/19
笛小説
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