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1月にメッセージを下さった方
へい様
どうも、ご無沙汰しております。
お立ち寄りくださいまして、ありがとうございます。
ニセモノの恋については、その当時に知っている心理学的知識やら、人間観察の結果やらを相当あちこちにぶちこんで作った話なので、読み直すと、お気づきになる点も違うかもしれません。
さらにぶっちゃけてしまうと、麻衣子の姉は「アダルトチルドレン」の設定ですので、成長した後(結婚後)、生きのびるのに苦労するだろうなと、当時は思いながら書いていました。
自分自身の感性自体が、今現在は、書いた当時ほど尖ってはおらず、自身の書いたものではあっても、同レベルのものは、もう書けないだろうと思っています。
書きたい意欲はあるんですけれども。時間的にも、クオリティ面においても、歯がゆいですね。
ご心配、ありがとうございます。へい様こそ、お忙しいでしょうに、お立ち寄りくださって、お読みいただけて、本当にうれしいです。
寒さも厳さを増してまいりました。お体ご自愛くださいませ。
今後とも、宜しくお願い致します。
メッセージ、ありがとうございました!
ちょっと思いついたので。
シゲがプロ入りしてちょっとしてから。高校生~大学ぐらいのイメージで。
三上「シゲ、噂に聞くお前の彼女って、あの黒髪ロングの娘?」
シゲ「おお、そうやで。何、三上お前、人の女にちょっかいだすなや?」
三上「はいはい。大事ならお前、 さっさと手ェだしたらどうだ?」
シゲ「あぁ? 何の事や?」
三上「だってあの娘、まだ処女だろ」
シゲ「…何でそう思うんや? そんなん別に他人の勝手やろが」
三上「忠告してやってるんだぜ? あーゆう真面目でウブな子は、最初の男のこと、そんなによく思ってなくても寝れば好きになるし、引きずるぜ」
シゲ「おい三上、お嬢は、そない軽い女やないで」
三上「軽い女じゃなくても、無防備なら落とせるぜって言ってんの。彼女って隙だらけだ。食べてくださいって言ってるようなもんだぜ?」
シゲ「…忠告おおきに。お礼に先に言うとく、お嬢に手ェだしたらお前、半殺しやで三上。なんでそないに分かるんや? お嬢の隙なんか」
三上「ああ、場数の差だな。今じゃ少し話せば初対面でも落とせるかどうか、だいたい分かる」
シゲ「お前、遊んどんやなぁ…女性関係どうなっとんの?」
三上「今は上物一本釣り狙いだな。後腐れなく楽しく。お前の彼女みたいなタイプは重いから、俺のタイプじゃない。安心しろ」
シゲ「お前、昔お嬢みたいなタイプを口説いて、ヤリすてしたんか? ひょっとして。ひっどいなぁ」
三上「ああまぁ昔の話だし。あっちには別に彼氏もいたのにさ、俺の方を好きになっちゃったんだよね。だからさ、気をつけろよシゲ」
シゲ「…おお。三上みたいなタイプの男に会うたら、真っ先に逃げぇ言うとくわ」
オオカミに気をつけろ!
でもシゲがオオカミになってもお嬢は同じ運命。
あけましておめでとうございます\(^o^)/ご無沙汰しております。今もこちらに来てくださっている方は、きっとシゲマイやミズユキ好きの同志の方ですよね。私もまだまだ好きですよ~本年もこんな更新状況かとは思いますが、よろしくお願いいたします。ひとつネタでも。シゲは年末年始は家でごろごろしていたいのに、テレビ出演に引っ張りだされて拗ね気味。麻衣子さんは快く送り出してくれるけど、それがまた、シゲには寂しくて、新年早々扱いづらい旦那に、麻衣子さんはため息をついていそうです。
太陽の外の国 番外 Smoke
「スポーツ選手にタバコは毒よ」
「おおきに」
そう答えて、シゲは煙をくゆらせた。
3時間ほど前に会ったばかりのその女性は、シゲの隣に横たわりながら、母親のような、姉のような表情を浮かべて、引っ張り上げていたシーツがずれて胸元が覗くぐらいに、盛大にため息をついた。
シゲがさりげなく目を逸らすと、白い手が眼前に伸びてきた。
「私にも頂戴」
「あれ、吸うん?」
「銘柄違うけど、ま、いいわ」
シゲの口元から吸いさしを取り上げて、深く吸い込んで白い煙を吐き出す。
「ずいぶん強いの吸ってるわね」
「軽いと吸った気ぃせえへんもん」
答えて、シゲは新たな一本を取り出してくわえ、火をつけた。
ニコチンが体内を巡って、指先が冷える感覚。軽い目眩。
シゲは瞼を閉じた。
「馬鹿ねえ。タバコなんて、人間には毒なのに」
「そうなんやろな」
毒が体に染み込む感覚が、心地良いのだろう、きっと。
「体力落ちるってわかっとるけどな。やめられんのや」
「あなた、ちゃんと二十歳越えてたっけ?」「ちょうど20」「若いわねぇ。羨ましい」「おネェさんかて若いやろ」「ありがと。でも、四捨五入しちゃうと、そうも言ってられない年なのよねぇ」「ふうん?」「……すっごい興味なさそうなお返事どうも」
寝返りを打ってシゲに背を向けたのだろう、ベッドから軽い振動が伝わってきて、シゲは瞼を上げた。
オレンジのライトが鈍く部屋を照らしている。
脱ぎ散らした衣服。隣の見知らぬ女性。
冷めた現実。
べつにおかしなことではなかった。どれほど頑丈な堤防を築こうと、一度崩れてしまえば、そこから水が流れ出すのは自然の摂理というものだろう。
堤防はどんどん崩れている。
このまま崩れ続けて、空っぽになるのも一興だ、とも思う。
毒だと知りつつ、呑み続けるみたいに。
彼女ではない女と寝るのも、結局はその延長だった。
その対象から受け取る快楽、におい、あたたかさ、
柔らかさなんかが全て、『彼女』を引き立てる材料だった。
そう、声が違う。
仕草が。髪が。
肌が。熱が。
目も魂も、ぜんぶが違う。
結局、誰を抱いても、これは彼女ではないのだと思い知らされる。
焦燥が募るばかりで。
苦しくなるだけで。
彼女に焦がれている。
彼女だけを。
「番号教えようか?」
シャワーを浴び終えたシゲが服を着て出ると、ベッドの上からそんな声が聞こえた。
「ありがたいけど、遠慮しとく」
「なーに、年増には興味ないっての?」
「ちゃうって。おねぇさんせっかくエエ女なんやから、俺みたいのやない、ちゃんとした相手見つけたらええ思て」
「お上手ですこと。でもそのセリフ、そっくりそのまま返すわよ?」いたずら坊主のような表情でシガーケースを差し出された。シゲは受け取ろうと手をのべた。
「まったく、あたしの名前も聞かないんだからね」
シゲは曖昧に笑った。
「聞いとらんかったっけ?」「聞いてない。嘘つきはタバコ没収」中身が抜き取られたシガーケースが投げて寄こされ、シゲは片手でキャッチした。
「タバコやめなよ。年長者の忠告」「吸ってる人が言っても説得力あらへんで」「あたしはいいのよ」「なんで」「悟ってるから」
にやりと笑って言った。
「ひとさじの毒が人生のスパイス」
「……へぇ」
「ちなみに、ひとにぎりの失敗とか、ときめきとか、冒険とか、入る文字は何でもいいのよ。アレンジも可」
「……ちょっとした後悔ってのもスパイスになるん?」「ああ、それもいいわねぇ。貰っとこ。明日の教訓ね」
ばいばい、と背中越しに手を振るだけの、軽い別れの挨拶を頂戴して、シゲは部屋を出る。
あとくされのない相手は、案外手軽に見つかるものだ。
その確信が深まるたび、そんな関係を重ねるたびに、どこかがすり減っていく気がする。
外に出ると、冷たい空気が肌を刺した。また冬が来る。
あれから何度目の冬だろう。
シゲは彼女と並んで歩いた冬の日を思い出した。
ひとさじの後悔、ひとさじの反省。
……ひとさじの恋?
「ひとさじの、あきらめっつーか、なぁ……」
はあ、とシゲは息をついた。
ひとさじで掬いきれるような、軽い恋ではなかった。
スパイスというより、劇物だろう。
致死量寸前の。
次、彼女に会えるのはいつになるだろう。
シゲは、その日を思って、しばしの間、目を閉じた。
こんばんは??
ううん、ご無沙汰しております。
愚痴をこぼしたい心境。
更新は、全然書いていないので(汗)
冬が来たので、ちょっと蔵出ししてしまいます。
裏にある、「太陽の外の国」 の、続きっていうか未来の一幕です。
ああ、裏、本当に放りっぱなしですね、私。どんだけ~
時計を見て、もうそろそろ、本当に帰らなければならない時間になった事を確認してから。
上條麻衣子は、藤村成樹をじっと見つめた。
占いは信じない主義6
なんだかずっと、本当に普通の、偶然再会した同級生どうしの会話だった。
緊張はしていたけれど、普通に話せた事に、麻衣子は驚いてもいた。
劇的なものを想像していたわけではなかったけれど、なんとなく。
こんな風に普通に会話する機会があるなんて、思ってはいなかったから。
カードだけのやり取りだったのに、こんな風に一緒にいるなんて。
とにかく、意外で、不思議でもあった。
彼は今、テレビに映るような人でもあるのだから。
カードを見て、いつか会えるかもしれないと思いながら、こんな風に近くにいることがあるなんて、思いもしなかった。
「……ありがとうね」
麻衣子は言った。
「何が?」
と彼が言った。
「忙しいんでしょうに、時間作ってくれて。話せて良かった」
「……うん、そうやな」
彼はそう言うと、目をそらし、立ち上がる。
「遅いけぇ、送るよって」
「そうね、もう出なくちゃ」
麻衣子も立ち上がった。
てっきり、駅までの「送る」だと思ったら、藤村成樹は麻衣子の家まで送る気のようだ。
一緒の電車に乗ると、彼の周りを、視線がうろうろするのが分かる。
「本当は有名人なのよね」
思わず麻衣子は言った。
「まぁ、顔はそこそこ売れてるみたいやで。嬉しい?」
「嬉しい? 何が?」
「俺と並んで注目されるの」
藤村成樹が、至近距離で、見降ろして聞いてきたが、麻衣子は首をかしげた。
「見られてるのはあなたでしょう? 私じゃないわ」
「ん、そうかもしれんな。でも、並んでる男が自慢できる男やったらうれしいもんやない?」
「自慢できる人? 周りの人に?」
「あー、ちゃうか、隣に居るのが、好きな男やったら、お嬢はうれしい?」
「そうね、それはそう。嬉しいと思うわ、きっと」
「今は? 嬉しい?」
「……不思議な感じだわ、なんだか」
「っさよか、お嬢、おもろいわー」
くすくすと笑いだした藤村成樹に、麻衣子は再度、首をかしげた。
続く
終わらなくてすみません。間が空いてすみません。
仕事なんか、いや仕事は大事ですが、うっちゃりたいです。畜生。
藤村成樹が、急いでレストランの前に戻り、2時間ぶりに再会した直後。
「私、門限があるの」
という上條麻衣子のセリフを聞いて、全くがっかりしなかったといえば嘘になる。
けれど。
占いは信じない主義5
「さよか。門限、何時なん?」
上條麻衣子に、藤村成樹はそう聞いた。
「10時、ですけど」
「あんま時間ないねんな。じゃ、コーヒーでも飲もか」
振り返って、角にあるコーヒーショップを指し示す。
「……そうね、ええ、いいわ」
気乗りしているのかどうか、よく分からないながらも、彼女はシゲの後をついてきた。
チェーンのコーヒーショップでフレイバーコーヒーを注文し、席につく。
数年ぶりに会った上條麻衣子に、全体的に、別人となったと思えるような、劇的な変化は、外見はなかった。
黒い長い髪も、あの頃のままだ。
席に座るとき、控え目な香水の香りが、鼻をくすぐったぐらいで。
それなりの格好と化粧をしてはいるものの、雰囲気も、あの頃のままのように感じる。
こんな風に再会するなんて、思ってもみなかった。
けれど、ずっと、会いたいと思っていた相手。
年に一度、送られてくる、バースデーカード。
シゲも毎年、送り返している、バースデーカード。
サッカーや、他の事にも色々と、忙しい日常を送ってはいても、彼女を意識し続けるには十分だった。
コーヒーショップでの会話は、今のお互いの現況報告からはじまり、同級生の現在と、昔話で終了。
さて、そろそろ電車に乗らないと、という時刻になるのは、あっという間だった。
「お嬢、そろそろ時間やな」
シゲは自分から口火を切った。
「そうね、そろそろ……」
彼女が時計を見て答える。
シゲに向けられる彼女の視線から、何か、シゲに対する好意のようなもの、その片鱗でも読み取れないものか、とシゲは思って彼女を見つめた。
占いは信じない主義4
麻衣子には、成否のいまひとつ分からない合コンの後。
麻衣子以外は二次会へと移動するらしい。
ちゃんと彼に電話しなさいよー、でも今日そのままホテルとかはダメよ? と麻衣子にこっそり言い残し、友人も行ってしまった。
すっかり日は暮れ、でも午後の残暑の余韻を残す街中で、麻衣子はためらいつつ、携帯を開いた。
そもそも、彼の意図は分からないし。
麻衣子に特別な感情なんてないのかもしれないし、ただ旧友と話をしたいだけなのかもしれないし。
うん、きっとそう。意識するだけ恥ずかしいことになるんだわ、きっと。
名刺を見て押した番号は、「もしもし、」 と数コールで繋がった。
「上條です。今、終わりました」
「おお、なんや事務的やな、お嬢。今どこに居るん?」
「さっきの、お店の前にいますわよ」
「さよか。ほんなら、5分ぐらいそこに居ってくれん?」
「……ええ、良いですけど」
「じゃ、5分後に」
通話を終えて、5分で本当に来るのかしら、なんて不思議と冷静になって麻衣子は待った。
本当に何年ぶりだろうか。彼に会うのは。
友達は、この後何事かを期待していたようだったけど。
まぁ、現実、これほど長く会っていない同級生同士が、今日、すぐにどうこうなるような事は、まずないだろう。
彼はどんな私生活を送っているか、麻衣子は知らないし。
彼も、麻衣子を知らない。きっと全然知らない。
たとえば、今日再会して、今日どうこうなるような麻衣子ではない。彼がどう思っていたとしても、だ。
はたして、彼が4分後現れた時、麻衣子の口から出てきたのは、
「私、門限があるの」なんてセリフだった。
実際、門限まで、2時間を切っていたのだが。
きょとんとした顔の藤村成樹を見ながら、今のセリフ、友人が聞いたら、さぞ怒るだろう、と麻衣子は思った。
占いは信じない主義3
「偶然やん。懐かしいなぁ。何年ぶり?」
彼がそう言った。
「あの、え? 佐藤、なんでここに?」
麻衣子は焦って、見当違いの質問をする。
「そう呼ばれんのも新鮮やなぁ。俺、今はもう、佐藤やないねん。仕事上がりで、飯に連れてきてもろたんよ。お嬢はどうしたん? 友達と食事? リッチやなぁ」
「違うわよ、別に……」
麻衣子は隣の友人を見た。
友人は、びっくりした顔で、麻衣子の腕をつついている。
「麻衣子、知り合いなの?」
「ええ、中学時代の同級生」
彼は、いつもの事、のような顔で、「どうもはじめまして、藤村ですー」と、軽い挨拶をする。
彼の連れである、スーツを着た35歳くらいの男性が、彼に何事か耳打ちをするために、彼の注意を引いている。
麻衣子はその間、友人に急かされてこそこそ話をした。
「ちょっと、麻衣子、あんな有名人と知り合いなんて聞いてないよ」
「だって、ずっと会っていないし、私だって驚いてるんですのよ」
「彼に気があるなら、合コンはいいから、行ってきなさいよ、こんなチャンスないわよ」
「だって、そんな、人数だってあるでしょ」
「そんなの気にしてないで! ほら、これがきっと、運命の出会いだってば」
「でもー」
と、ここで、彼側の会話が終わった。友人が素早く振り返って言った。
「あの、もうお食事されたんですか?」
「おお、食べてもうたで」
「そうなんですか、残念ー」
「君らは、合コンやろ?」
「えー、なんで分かっちゃうんですか?」
「あっちにそれっぽい集団居ったし。君の格好も気合入っとるし」
ぽんぽん交わされる会話に、麻衣子はついていけない。
「ねぇ、時間は大丈夫なの?」
麻衣子はつい、聞いてしまった。
友人がすごい形相で振り返り、麻衣子、黙ってて! のような視線を投げられた。
藤村成樹と、目が合った。
今日は麻衣子の誕生日。
もしかしたら、今日だって、カードが届いているのかもしれない。
彼は、麻衣子の誕生日を覚えているのかもしれない。
届けられているカードの意味をずっと知りたかったのに。
一言、聞けばいいのに。
少しの沈黙。
「青春やなぁ。ええ出会いがあるとええなぁ。ごゆっくり」
と、藤村成樹が言う。
「ええ、そうね……」
麻衣子は思わず目を逸らしながら、そう答えた。
それじゃぁ、なんて軽い挨拶を交わし。
彼らは店を出る雰囲気になった。
友人に目線で責められたけれど、麻衣子には何もできない。ただ首を振った。
「行こっか」
の言葉にうなずき、麻衣子と友人は彼らに背を向けて店を奥へ進む。
予約されていた個室へ着く直前、肩をたたかれ、振り返ると、彼が居た。
麻衣子の友人に向けて、内緒やで、とジェスチャーをし。
麻衣子の手に、名刺が差し出された。
彼の名前が書かれた名刺。裏返して見る。
『終わったら連絡下さい』
そんな字が書かれていた。
にやけて、彼に同じく内緒のジェスチャーを返す友人に、麻衣子はあわててカバンにそれを隠し、なにやら自身ありげな彼に一瞥をくれ、初めての合コンへと合流した。
合コン中、相手に失礼ではあるけれど、はっきり言って、うわの空だった。
つづく
占いは信じない主義2
7月8日は、麻衣子にとって、他の日よりも、ほんの少しだけ、特別な日だった。
その日にあわせて、バースデーカードを送るのが、毎年の習慣だったから。
特に深い意味はないのだから、と毎年言い訳をしながら投函するバースデーカード。
メッセージも、誕生日おめでとう、以外には入れない。
その相手、藤村成樹、は、中学時代の同級生だ。
それ以外に、説明する言葉を麻衣子は持たない。
相手からも、8月末の麻衣子の誕生日には、同じくバースデーカードが届く。
そんな、年に一度、夏のやりとりを繰り返す相手。
彼はこれまでに3度、住所が変わったけれど。彼の手元まで、どうにか届いているのだろう。新しい住所で、麻衣子の誕生日に届くバースデーカード。
単に、送られたから礼儀として送り返してくれているのか。
他に意味があるのか。
麻衣子宛てにシンプルなバースデーカードが届くたび、不思議に思う。
今年の夏こそ、返信はこないかもしれない。
そう思って、毎年投函しているのに。
カードが今年来なければ、ふっ切れる、そう思って投函しているのに。
返ってこなかった夏は、今まで無いのだった。
麻衣子の誕生日、8月29日。
彼の返信を待っているつもりはないけれど。
いつまでも彼を引きずっていても、仕方がないことは分かっているけれど。
こんな風に、連れてこられるとは思っていなかった。
「ねぇ、やっぱり私、やめておくわ」
麻衣子が何度目かで言うと、
「ここまで来たんだから、それは無いでしょ」
と友人は答える。
友人同士で誕生祝いするから、と麻衣子はすっかり騙されて連れ出された。
「だって、合コンだなんて言ってなかったじゃない」
「だって言ったらイヤって言うでしょ? 占いだって運命の出会いって書いてたんだから、試しに参加してみたって、いいでしょ?」
「だって、友達どうしで集まるって言ってたじゃない」
「ほら、もう店も見えてきたし。あきらめて、麻衣子。タダでご飯が食べられると思えばいいもんよ~」
「食べなくてもいいですわよ」
目の前には、大学生だけではちょっと入りづらい、料理の値段の見当がつかないようなお店が見えてきた。
友人はためらいもせずに受付に進む。
……こういうお店で合コンって、するものなの……?
麻衣子は内心考えつつ、彼女の背中に仕方なく付いて店内を進む。
「……あれ、お嬢?」
ふと、そんな声が背後にかかって、麻衣子は振り向いた。
「……佐藤?」
麻衣子も、懐かしい呼び名を呼んだ。
まさか、数年ぶりに。
こんな偶然に会うなんて。
彼はTVにも映る人だから、見間違えではない、のだろう。
藤村成樹が、そこに居た。
つづく
すみません。
裏もほったらかしですみません。
でも夏ですから!
期間限定で!
お嬢の誕生日までになんとか!
頑張りたいと思ってますよ。
なんか、次回は、登場して、続く、になる予定ですよ。